復縁祈願の法華経寺住職神宮司龍峰 愛知県名古屋市中村区 精神病
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法務担当・佐藤法律事務所
弁護士法違反とは
要件・効果
「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。
ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。」(弁護士法72条)とされている。
違反すると「2年以下の懲役又は300万円以下の罰金」(同法77条)となる。また、弁護士法72条の規定に反する委任契約は無効とされる結果(最高裁判所昭和38年6月13日判決民集17巻5号744頁)、非弁行為によって支払われた報酬は返還請求の対象となる。なお、非弁行為によって行われた行為の効果については事案毎に有効とされているものと、無効とされているものとがある。
本条の趣旨
弁護士以外の者がなす法律事務の実施は、類型的にトラブル発生の危険性が高い。
そこで、法は、弁護士の有する専門的知識と、弁護士以外の第三者による公正・慎重な懲戒制度を有する弁護士資格制度に対する信用を前提に、非弁活動を一律に規制した。
要件相互の関係~「一罪説」
要件解釈に際し、「報酬を得る目的」と「業とする」がどの範囲にかかるかについてはかつては見解が分かれていた。すなわち、「報酬を得る目的」が「法律事務」の「取り扱い」にのみかかり、「周旋」にはかからないとする見解、「業として」のかかる範囲に同様の主張をする見解などが存在したが、最高裁大法廷判決昭和46年7月14日刑集25巻5号690頁が、「弁護士法72条本文は,弁護士でない者が,報酬を得る目的で、業として、同条本文所定の法律事務を取り扱いまたはこれらの周旋をすることを禁止する規定である」と判示し、いわゆる一罪説を採ることが明らかにされた。これ以後、実務的には本条の禁止にあたる要件として「報酬を得る目的」のあること、「業」として行うことの双方が必要であることとなり、議論の中心はこれら各要件の意義および本条所定の「法律事件」の意義に移った。
「報酬を得る目的」の意義
「報酬」とは、金銭に限られず、物でもサービスでもよい(サービスにつき大判S15.4.22)。当該法律事務が将来の顧客創出につながる宣伝効果を伴い、行為者がこの効果を認識している場合においても本目的が認められるとの説がある。報酬支払いが事前・途中・事後のいずれの場合であるかを問わない。支払についての明示あるいは黙示の契約は不要であり、謝礼の趣旨で支払われることを行為者が予期していれば本目的を充足する。また、現実に報酬を得たことは本条違反の罪の成立要件ではない(東京高裁昭和50年8月5日判決・東京高等裁判所判決時報刑事26巻8号133頁)。報酬は事件を依頼した者から受領する場合に限定されず、第三者から受領する場合(無料法律相談の場所を提供している者からの報酬提供等)も含まれる。一定の入会金や会費を支払うと法律事務をするというような場合、通常、その入会金や会費は当該法律事務と対価的関連性がある。
「業とする」の意義
「業とする」とは反復継続の意思を持って行うことをいい、一度の行為であっても反復継続意思があればこの要件を充足する。特定の設備を設けることも、営利性も不要である。かつては「周旋することを業とすること」に限って禁止する趣旨であるとの見方もあったが既述の「一罪説」を採用する最高裁判決により否定された。
「法律事件」の意義
本条により、「訴訟事件、非訟事件、行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件」の取り扱い又は周旋が禁じられている。「訴訟事件」とは、訴訟として裁判所に係属する民事、刑事及び行政の各事件、「非訟事件」とは、裁判所が裁量によって一定の法律関係を形成する裁判をする本質を持つ事件、「行政庁に対する不服申立事件」とは、行政不服審査法上の審査請求、異議申立、再審査請求、その他の行政庁に対する不服申立全般を意味するが、これらは文言上例示であることが明らかであることから、結局のところ「法律事件」の意義が問題とされる。
「法律事件」の意義については、「事件性」が必要であるとする「事件性必要説」とこのような要件の存在を否定する「事件性不要説」の争いがあり、事件性必要説においても事件性の意味内容について争いがあるが詳細は後述する。事件性必要説のある立場からは、「法律事件」を「法律上の権利義務に関し争があり若しくは権利義務に関し疑義があり、又は新たな権利義務関係を発生する案件」(東京高裁昭和39年9月29日判決等)と表現される。
以下に、裁判例等において法律事件に当たると判断された事例を挙げる。
一般の法律事件に該当するとされたもの
自賠責保険金の請求・受領(東京高裁昭和39年9月29日判決)ただし、「弁護士法72条所定の法律事務」を「紛争の実体、態様などに照らして一般人がこれに当面しても通常弁護士を依頼して処理することを考えないような簡易で少額な民事の法律事件」を含まないものと解釈して「自賠責法に基づく保険金の請求手続」を一定の要件のもとで除外する札幌地裁昭46年2月23日判決があるが、控訴審(札幌高裁昭和46年11月30日判決・判タ271号115頁)で破棄されている。
債権者の委任に基づく請求・弁済受領・債務免除(最高裁一小昭和37年10月4日決定・最高裁判所刑事判例集16巻10号1418頁)
自由刑の執行延期申請(大阪高判昭和43年2月19日・高等裁判所刑事判例集21巻1号80頁)
賃貸借契約を解除し、建物からの退去・明渡しの事務を行うこと(広島高裁平成4年3月6日決定・判例時報1420号80頁)
登記・登録の申請、特許等の申請、裁判外紛争解(ADR)機関に対する各種申立(登記手続きについて東京高裁平成7年11月29日判決)
保険会社社員の示談交渉実施について
自動車事故が発生した場合における自動車保険で被保険者が事故相手から損害賠償請求を受けた際に、被保険者が弁護士ではない損害保険会社社員に相手当事者と示談交渉を委任することについて、非弁活動という観点から違法性が問題視されていた。これについて、社団法人日本損害保険協会と財団法人日弁連交通事故相談センターとの間に、対人事故については1973年9月に、対物事故については1982年7月にそれぞれ覚書が締結され、被害者の加害者保険契約に対する直接請求権が成立することを条件に、弁護士資格のない保険会社社員による示談代行交渉ができるとの理解が示された。弁護士法が禁止しているのは他人の法律事務の取り扱いであり、被害者の加害者保険契約に対する直接請求権による請求を受けて保険会社自身が保険金の支払いを行う場合、保険会社は保険契約にもとづき自己の義務としてこれを行うのであるから、その内容について代行交渉を行っても弁護士法の禁止に抵触しないとの整理による。この観点から、いわゆる10・0事故において、被害者側と契約する保険会社は自己の義務としての支払い義務を負わないために交渉を行わないものとされている。だが、実際には被害者直接請求の成立が定かでない示談代理交渉が一般化しているとの懸念が示されている。